「オイラは、このテニス丸高校テニス部を救いにやってきた須斗郎久歩令(ストロークボレー)だぁ！！」
「坊っちゃんと呼びやがれい！！」
「さぁ！！テニスするやつぁかかってこおおおい！！」
あれから大変だった。
先生が元テニス部だったことを知り、その場で対戦を申し込んで、結局殴り合いのケンカに発展した。
「タケル！この変なテニス野郎はお前が管理しなさい！」
鼻血をふき取りながら先生はこう言ったが、何てことだ。
そもそもこいつはどういう経緯で転校してきたんだ？
タケルは心を落ち着かせるために遠くに座っている太郎の鼻毛を見ていた。
「お前タケルっていうのか！よろしくな！」
「お、おう」
先生の喚き声に近い説教が大半を占めた歴史の授業が終わると、俺はこの謎男に話しかけた。
「えっと、坊ちゃんって呼べばいいんだっけ？」
「そうだ！よろしくな！」
「あ、あぁ。」
「それで、俺はさっそくテニスしたんだけど、テニス部の奴をしらねぇか！？」
こいつには俺がテニス部だってこと、しばらく黙っておこう。
また暴れだされたらたまったもんじゃ・・
「タケル！！！テニス部の部室いこうぜぇ！！！」
「・・・あんの逆火山噴火・・」
「お前テニス部だったのか！！だったら話ははえぇ！俺とテニスしてくれ！！」
「あれ、なんか、まずかった？」
太郎を睨めつけながら、俺はその場をどう収めようか考えた。
「テニスするのはいいんだけど、まだ授業が残ってるし、テニス部に入るつもりだったら、まずメンバーの紹介が必要だろう。とりあえず放課後テニス部に行ってみよう。」
「お？ん～俺はいますぐテニスしたいんだけどなぁ・・・わかったよ。そしたら放課後頼むな！！」
「あぁ」
よかった・・。頭が固そうに見えるが、あんがい素直で分かりやすくて扱いやすいかもしれない。
「俺のことはタケルって呼んでくれ。そんで隣にいるこのちんちくりんは鼻毛マンと呼んでくれ」
「おいタケル！なんてこというんだよ！！！」
「あ～はっはっは。お前ら仲いいんだな！よろしくタケル！そんで腕毛マン！」
「鼻毛マン！ってそれもちがうぅううう！！！」
この場は落ち着いて良かったが、俺は自ら提案してしまった放課後の案内のことを考えていた。
坊ちゃんと絶対合わせちゃいけない男がいる。
それはテニス丸高校テニス部創設以来の問題児、3年3組、『秋田飽男』先輩。
俺はまた冷静になるため太郎を見つめていた・・・
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yagi
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